役員報酬設定等へのアドバイス:税理士が守るべき3段階プロセス
はじめに
こんにちは。福岡県久留米市の公認会計士・税理士 豊岡春樹です。
先日、近藤学先生の役員報酬の設定等に関するセミナーを受講し、税理士として非常に重要な気づきを得ました。
この記事では、その学びを共有し、自戒の念も込めて、お客様との信頼関係構築に不可欠な3段階プロセスについて詳しく解説します。
3段階プロセスの重要性
お客様から役員報酬の金額等の提案を受けた際、以下の3段階のプロセスを必ず踏む必要があります:
- 事実を提供(シミュレーション結果を提供)
- 見解を伝える
- お客様に判断してもらう

なぜこのプロセスが必要か
税理士は専門知識を持っているがゆえに、お客様の提案に対して①の事実を提供を飛ばして、すぐに見解を述べがちです。
例えば、毎月の定期同額給与を引き下げて役員賞与を大きくするという提案に対し、役員賞与の届け出や損金不算入のリスクを指摘し、提案を否定してしまうことがあります。
しかし、このアプローチはお客様の信頼を損なう可能性があります。
誰しも、自分の提案が詳細に検討されることなく否定されれば、不快な思いをしますよね・・・
3段階プロセスの実践方法~役員報酬の事例~
1. 事実を提供
- 現状のシミュレーション結果を示す
- 変更後のシミュレーション結果を提示する
- 以下の項目について比較結果を報告する:
- 個人の手取り額
- 社会保険料の負担額
- 法人税の負担額
- 法人と個人のキャッシュの増減額 等
2. 見解を伝える
シミュレーション結果に基づいて、提案のメリットとデメリットを客観的に説明します。
ここで初めて税務リスク等を説明する流れになります。
3. お客様に判断してもらう
最終的な判断はお客様に委ねます。私たちの役割は、あくまで情報に基づいた決定をサポートすることです。
結論
この3段階プロセスは、一見当たり前に思えるかもしれません。
しかし、日々の業務に追われる中で、こうした基本的なステップを省略してしまうことがあります。
私も定期的に自らの理念や初心を振り返り、お客様の信頼にこたえることができているかを検討したいと思います。
役員報酬の設定に限らず、様々な場面でこの3段階プロセスを適用することで、お客様との信頼関係を深め、より価値あるサービスを提供できると考えます。
投稿者プロフィール

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久留米市の若手公認会計士・税理士です!
freee会計を活用し、中小法人・スモールビジネスの記帳や確定申告の負担を軽減し、本業に専念できる環境づくりを支援しています。
創作活動に励む漫画家・同人作家の方からのご相談も多数いただいており、柔軟かつ丁寧な対応を心がけています。
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