インボイス制度導入で事務負担増加の実態、解決策について

こんにちは。福岡県久留米市の公認会計士・税理士 豊岡春樹です。

2023年10月に導入されたインボイス制度。

1年が経過した今も、多くの事業者がその複雑さに頭を悩ませています。

特に中小企業にとっては、 事務負担の増加 が大きな課題となっています。

日経新聞の報道によると、インボイス制度を導入した中小企業の 8割以上が事務負担の増加を実感 しているという結果が出ています。

なぜインボイス制度は複雑で、事務負担が大きいのか?

そもそも消費税制度が複雑

消費税は、複雑で理解が難しいと感じる方が多いのではないでしょうか。

実際、 消費税還付をめぐって様々な企業が還付スキームを行った結果、それを封じ込めるための制度変更 が繰り返されてきました。

現在も複雑化の一途を辿っています。

インボイス導入

インボイス制度導入により、請求書の内容確認や登録番号の照合など、 新たな業務 が発生しました。

今ではクラウド会計やAI-OCRが発達しており、請求書の登録番号の照合を自動で読み取ってくれるシステム等もありますが、みんながみんな導入できているわけではありません。

実際に日経新聞の記事の中に下記の記載があります。

「請求書受領サービスなどを用いて受け取ったインボイスの登録番号を自動で読み取っているのは11.3%にとどまった。

75.0%は経理や現場部門が目視で確認していた。」

日経新聞の報道

膨大な請求書を1枚ごとに必要事項が正しく記載されているか、発行事業者の登録番号が正しいかどうかを目視で確認するのは骨が折れますね・・。

また、インボイス制度そのものが複雑すぎて、受領した請求書に誤りが含まれているケースも少なくありません。

誤りがあった場合に、先方にお伝えするコストもかかってしまいます。

さらに、取引先が制度に対応していない場合は、個別に説明や対応を求める必要が生じるケースもあります。

そのため、 消費税に関する記帳を100%完璧に行うことは、現実的に不可能 と言えます。

インボイスのQ&Aは現在「問130」あります・・。多いですよね・・。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf

事務負担を軽減するために

事務負担が大きすぎて、他に時間が費やせないという方は、記帳代行会社記帳代行を行っている税理士との契約が有効な手段となります。

記帳代行会社や税理士に依頼することで、

  • 経営に専念できる時間の確保
  • 記帳や申告業務の正確性向上
  • 最新の税制に対応可能
  • 担当者の負担軽減による生産性向上

などのメリットが期待できます。

専門性のある従業員を雇うというのも有効な手段ではありますが、どうしても退職リスクがあり、教育コストも発生することは否めないです。

経営者の方針とはなりますが、記帳代行会社や税理士とご契約された方が低コストになるのかなと考えます。

経営者は「お金で時間を買う」感覚で、ストレスを軽減しつつ効率的な事業運営が可能となります。

まとめ:複雑化する税制に振り回されないために

インボイス制度や改正電帳法など、毎年複雑化する税制への対応は、多くの事業者にとって大きな負担となっています。

経営者の皆様には、この機会に自社の業務体制を見直し効率的な経営のために必要な投資を検討されることをお勧めします。

もし、現在事務負担が大きいと感じている方は、お近くの税理士や商工会等、相談しやすい方に一度ご相談されると良いかなと思います。

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豊岡 春樹
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