確定申告の負担を減らす第一歩。事業用の口座を分けてみませんか

こんにちは!

福岡県久留米市の公認会計士・税理士、豊岡春樹です!

確定申告のために一年分の通帳をさかのぼってみたら、原稿の入金もコミケの売上も、生活費の出費もすべて同じ口座に並んでいた。

「これ、どこから手をつければいいんだろう」と手が止まってしまった。

そんな経験はないでしょうか。

漫画家・同人作家さんに限らず、事業とプライベートの入出金が同じ口座にまとまってしまっている方は、結構いらっしゃいます。

多くの方は「とりあえず今ある口座でやりくりしている」状態からスタートされるので、これはごく自然なことです。

ただ、活動が続くほど通帳の中身は混ざっていきますので、早めに整えておくと後の自分がぐっとラクになります。

この記事では、創作の時間をなるべく削らずに確定申告を乗り切るために、「口座を分ける」という一手間がどれだけ効くのかを、具体的な手順とあわせてお伝えします。

口座が一つだと、なぜ確定申告がしんどくなるのか

生活費の口座に活動のお金が混ざっていると、いちばん困るのが「一件ずつの仕分け作業」です。

DLsiteやデジタルコマースからの振込、イベントで得た売上、印刷費、交通費、資料として買った本や画材。

これらが家賃や食費、サブスクの引き落としと同じ通帳に並んでいると、年末や申告前に一行ずつ「これは活動のお金か、プライベートか」を判断していくことになります。

数十件ならまだしも、活動が活発な方ほど取引は増えますので、この確認だけで丸一日かかることも珍しくありません。

そして見落としがちなのが、手間が増えること自体がそのまま損につながる、という点です。

作品制作等に充てる時間が減るのはもちろんのこと、仕分けが大変になると、本来は経費にできた支払いをうっかり拾い忘れてしまいます。

きちんと活動のために使ったお金を申告に反映できなければ、その分だけ税金を多めに納めることになってしまうのです。

お金が混ざった状態は、こうした拾い漏れのリスクをずっと抱えたまま走っているようなものだと考えていただくと分かりやすいと思います。

手間が増えると精神的な苦痛も生じてきます・・

まずは「売上の入り口」をそろえることから始めましょう

完璧に分けようと気負う必要はありません。

最初の一歩としておすすめしているのは、活動の売上が入ってくる先を、一つの口座にそろえることです。

入金先さえ事業用の口座にまとまっていれば、「いくら売上があったか」の集計がすごく楽になります。

支出のほうまで一度に動かそうとすると負担が大きいので、まずは「入金の整理」から。

慣れてきたら少しずつ支払いも事業用に寄せていく、という順番で十分間に合います。

ワンポイントアドバイス:入金額をそのまま売上高に計上するのはまずい!?

ここで一点だけ気をつけていただきたいのが、売上の計上のしかたです。

取引先によっては、報酬から源泉徴収税を差し引いたうえで入金してくることがあります。

このとき、実際に振り込まれた金額をそのまま売上として計上してしまうと、本来の売上より少ない金額で申告することになってしまいます。

売上として計上するのは、あくまで源泉徴収が引かれるの総額です。

差し引かれた源泉徴収税は、確定申告のときに納めるべき税金の前払いとして精算されますので、こちらもきちんと記録しておきましょう。

源泉徴収についてはこちらの記事で解説していますので、あわせてそちらをご覧ください。

クレジットカードも一枚、仕事専用にしておくと安心です!

漫画家さんや同人作家さんは、デジタルツールに強い方が多い印象で、ふだんからクレジットカードを使いこなしていらっしゃる方も少なくありません。

ただ、一枚のカードで活動の経費もプライベートの買い物もまとめて支払ってしまうと、口座のときと同じように、後から一件ずつ仕分けする手間が出てきてしまいます。

そこでおすすめしたいのが、活動用にカードをもう一枚用意して、その引き落とし先を活動用の口座にそろえておくことです。

こうしておくと支払いの出口が一本にまとまり、集計の手間がぐっと軽くなります。

経費の拾い漏れも防ぎやすくなりますので、少し面倒でも分けておくとよいのではないかと、私自身も感じています。

事業用口座にはどの銀行がいい?(参考までに)

「では、どの銀行で口座を作ればいいの?」というご質問も結構いただきます。

結論からお伝えすると、ここはご自由に選んでいただいて問題ありません

すでにお持ちの口座を活動用に振り分けるだけでも十分です。

これからご紹介するのも、あくまで一例として参考程度にご覧いただければと思います。

これから新しく作るのであれば、振込手数料が安く、会計ソフトとの連携もしやすいネット銀行が使い勝手のよい印象です。

ご紹介の前に、銀行選びにも関わってくる「納税の方法」について、少しだけ整理させてください。

確定申告後の納税には、大きく分けて次の2つの方法があります。

振替納税:所得税や消費税の納税額が、申告後に自動で口座から引き落とされる仕組みです。一度設定しておけば、こちらで操作をしなくても期日に引き落とされるため、納め忘れの心配がありません。

ダイレクト納付:こちらも口座引き落としで納税する方法ですが、引き落としの際にご自身で納付の操作をする必要があります。ひと手間ありますが、振替納税では対応していない源泉所得税の納税にも使えるのが特徴です。

ざっくり言えば、「完全におまかせで引き落としてほしいなら振替納税」「自分のタイミングで納めたい、または源泉所得税も電子で納めたいならダイレクト納付」というイメージです。銀行によってどちらに対応しているかが変わってきますので、以下ではその点もあわせてご紹介します。

1. GMOあおぞらネット銀行

インターネット専業の銀行で、振込手数料も低めに抑えられています。

セブン銀行・イオン銀行・ゆうちょ銀行のATMが使え、個人事業主向けに屋号付きの口座も開設できます。

屋号付きにこだわりがなければ、ふつうの個人口座でもまったく問題ありません。

振替納税・ダイレクト納付の両方に対応しているのも安心できるポイントです。

従業員を雇っていない個人の方なら、まずはおまかせで引き落とされる振替納税がいちばん手軽です。

将来的に人を雇う場合も、源泉所得税の納付にダイレクト納付が使えますので、長く付き合いやすい一行だと思います。

  • 振替納税:対応
  • ダイレクト納付:対応

2. 楽天銀行

国内でも最大級のネット銀行です。楽天ポイントが貯まる・使えるため、ふだんから楽天のサービスをよく使う方と相性のよい銀行です。

振替納税に対応していますので、従業員を雇わずに個人で活動されている方の納税方法としては十分だと考えます。

  • 振替納税:対応
  • ダイレクト納付:非対応

3. 住信SBIネット銀行

SBI証券との連携が強みのネット銀行です。ランクに応じて振込手数料やATM手数料の無料回数が多く、コストを抑えやすいのが魅力です。

ただし、振替納税の口座には指定できない点には注意が必要です。

個人の方にとっては、自動で引き落とされる振替納税が便利な納付方法になりますので、その手軽さを重視したい方は他の銀行のほうが向いているかもしれません。

ダイレクト納付には対応しています。

  • 振替納税:非対応
  • ダイレクト納付:対応

なお、ここでご紹介した3行以外にも、振替納税やダイレクト納付に対応している金融機関はたくさんあります。

今お使いの銀行が振替納税やダイレクト納付に対応しているかどうかは、国税庁のページで一覧として確認できますので、口座を決める前にあわせてのぞいてみてください。

まとめ

創作の時間は、何より大切にしたいものだと思います。

だからこそ、お金まわりはできるだけ手間をかけず、シンプルに回せる仕組みにしておくことをおすすめします!

確定申告が終わって少し気持ちに余裕が出てくるこの時期は、来年の準備を始めるのにちょうどよいタイミングです。

完璧を目指さなくて大丈夫ですので、まずは口座を一つ用意するところから、気軽に動き出してみてください。

投稿者プロフィール

豊岡 春樹
豊岡 春樹
久留米市の若手公認会計士・税理士です!
freee会計を活用し、中小法人・スモールビジネスの記帳や確定申告の負担を軽減し、本業に専念できる環境づくりを支援しています。
創作活動に励む漫画家・同人作家の方からのご相談も多数いただいており、柔軟かつ丁寧な対応を心がけています。