税務調査で狙われる「交際費」の境界線~実務の注意点を解説~
こんにちは!
福岡県久留米市の公認会計士・税理士、豊岡春樹です!
本年もよろしくお願いいたします!
早いもので年始から1週間が経過しましたね・・。
今年もあっという間に年末になるんだろうなと予感しています。
さて、今回は税務調査においても非常に注目されやすい項目である「交際費」について解説していきます。
なぜ税務調査で交際費が狙われるのか
調査官が交際費を重点的に見るのにはいくつか理由があります。
例えば、交際費と他の経費(会議費、福利厚生費、旅費交通費、広告宣伝費など)の境界線が曖昧になりやすく、経理処理のミスが起きやすい項目であるため、調査官も調査しやすいというのが挙げられます。
また、法人の経費にはならず私的な経費だと判断された場合、給与や役員報酬になり源泉所得税等を追加で徴収しやすいという点もあります。
特に、資本金が1億円を超える等により、交際費の損金不算入額(経費にならない額)が発生している会社の場合、重点的にチェックされやすいため注意しましょう!
事例等について
次に税務調査で指摘を受けやすい事例を解説していきます。
交際費の基礎については、下記のタックスアンサーが参考になりますため、お時間がある方はご参照ください!
【参考】国税庁 タックスアンサーNo.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算
事例1:タクシー代の区分け
タクシー代は反射的に「旅費交通費」で処理されている方も多いかなと思います。
実は誰が何のために乗ったかで科目が変わります。
- 取引先との接待のために、取引先が利用したタクシー代を負担した:交際費
- 自社の役員や従業員が、会場等へ向かうために利用したタクシー代:旅費交通費
調査官はこの論点を非常に好みます。
もし取引先のためのタクシー代がすべて旅費交通費に含まれていれば、税務調査で指摘を受ける可能性が高くなります。
一方で、自社の従業員等がタクシーを利用し、その代金を自社で負担する場合は、自身の業務遂行のための費用ですので旅費交通費で問題ありません。
【参考】国税庁 質疑応答事例 交際費等の範囲(接待を受けるためのタクシー代)
事例2:1万円基準の正しい計算と「お土産代」
飲食代が1人当たり1万円以下であれば交際費から除外できる「1万円基準」ですが、細かいルールで迷う方が多いです。
1人当たりの金額はどう計算する?
【事例】 得意先の接待を行い、以下の費用を支払いをしました。
- 男性コース(13,000円)× 4名
- 女性コース(9,000円)× 2名
- 合計:70,000円
この場合、「女性は1万円以下だから除外、男性は1万円超だから交際費」という分け方はできません。
正しくは以下の計算式で判定します。
支出額の合計(70,000円) ÷ 参加人数(6名) = 11,666円
この結果、1人当たり1万円を超えるため、総額70,000円が交際費となります。
個別の単価ではなく、あくまで「1人当たりの平均額」で判定するのがルールです。
※参考:免税事業者への支払いと消費税の判定
インボイス制度開始後、免税事業者の飲食店を利用した場合の判定は少し複雑になりました。
【事例】
税抜経理を採用しているA社が、免税事業者の飲食店で22,000円(税込)を支払った(参加者2名)。
消費税の経過措置(80%控除)を適用するため、仕訳は以下の通り。
- 接待交際費:20,400円
- 仮払消費税:1,600円(※本来の消費税2,000円の80%)
この時、1万円基準の判定に使う金額はどれでしょうか?
- 税抜100%の金額で割る:20,000円 ÷ 2 = 10,000円
- 帳簿上の金額を人数で割る:20,400円 ÷ 2 = 10,200円
【正解】
正解は「2」の帳簿上の金額(20,400円)で判定します。
税抜経理を採用している場合、法人税法上の交際費の額は「経理処理された金額」に基づきます。
インボイスがないため控除できなかった消費税相当分(20%分)は、経費(交際費)の一部として含まれるため、その金額を含めて1万円以下かどうかをチェックする必要があります。
事例3:お土産代は合算できる?
通常、お土産代は飲食費では無いため、
資本金が1億円を超える等により交際費の損金不算入額(経費にならない額)が発生している会社の場合は、経費にならないと判断すると思います。
ただ、例外もあります。
【事例】 得意先の接待を行い、以下の費用を支払いました。
- 飲食代:8,500円
- その店で販売されているお土産:1,500円
- 合計:10,000円
この場合、この1,500円のお土産代は飲食代に含めて判定して良いことになっています。

※別の店(デパートや駅など)であらかじめ買っておいたお土産は、飲食費には含まれませんので注意してください。
事例4:「営業補償金」は交際費?
店舗展開などでよくあるケースを見てみましょう。
【事例】
A社は、ある地域に店舗を出店する際、当地域から反対運動を受けました。
交渉の結果、出店に伴う売上減少を補填するため、「営業補償金」として総額100万円を商店街の各店舗に支払うことで合意しました。
A社はこの支出を「販売促進費」として処理しました。
【判定】 この支出は、原則として交際費に該当します。
ポイントは、その支払いが「本来補償するべきものかどうか」です。
騒音や振動、悪臭などで実害を与えた場合の損害賠償金とは異なり、単なる売上減少の補填は、本来補償するべきものではありません。
あくまで円滑な営業活動を行うための支出という性質が強いため、税務上は交際費とみなされやすくなります。
まとめ
今回取り上げた内容は下記のとおりです。
- タクシー代は利用目的に応じて区分する
- 1万円基準は「1人当たりの平均額」で判定する
- 免税事業者への支払いは、帳簿上の税抜金額(控除不可分の消費税を含む)で判定する
- お土産代は飲食代として反映できる場合もある
- 法的な義務のない補償金は交際費になりやすい
交際費の判定は、奥が深いので処理には注意しましょう!
投稿者プロフィール

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久留米市の若手公認会計士・税理士です!
freee会計を活用し、中小法人・スモールビジネスの記帳や確定申告の負担を軽減し、本業に専念できる環境づくりを支援しています。
創作活動に励む漫画家・同人作家の方からのご相談も多数いただいており、柔軟かつ丁寧な対応を心がけています。
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