漫画家・同人作家の収入はなぜバレる?無申告が危険な理由とは

こんにちは。
福岡県久留米市の公認会計士・税理士、豊岡春樹です!

「今年は少ししか稼いでいないし、確定申告しなくてもバレないだろう」
「会社員だから、副業のことは税務署も把握できないはず」

副業で漫画やイラストを描いている方、同人活動で収入を得ている方において、上記のように考えたことがある方もいるかもしれません。

ただ、この場合注意が必要です。
実は、個人の収入はある方法で把握されています。

この記事では、なぜ税務署が収入を知ることができるのか、そのカラクリと、無申告のリスクについて、クリエイターの皆様に分かりやすく解説します。

【結論】なぜバレる?税務署は「支払調書」で収入を把握することができるため

なぜ税務署に収入がバレてしまうのでしょうか。

結論から言うと、報酬を支払う出版社やプラットフォームが、個人に対する年間の報酬を税務署に報告しているからです。

この仕組みは、主に「源泉徴収(げんせんちょうしゅう)」と「支払調書(しはらいちょうしょ)」という2つの制度によって成り立っています。

「源泉徴収」について簡単にご説明します。
これは、報酬を支払う側(出版社など)が、受け取り側に代わってあらかじめ所得税を天引きし、国に納める制度のことです。
「税金の前払い」とイメージすると分かりやすいでしょう。

例えば、出版社から10万円の原稿料が支払われる場合、所得税(10.21%)が天引きされ、実際に漫画家、同人作家さんの口座に振り込まれるのは89,790円となります。
この差額の10,210円は、出版社が代わりに納税してくれているのです。

そして、ここからが本題です。
源泉徴収の対象となる報酬を支払った個人や企業は、「誰に、1年間でいくら支払い、いくら源泉徴収したか」をまとめた「支払調書」という書類を作成します。

この支払調書は、いわば「漫画家、同人作家さんの年間の収入と納税額が書かれた成績表」のようなものです。
報酬を支払った個人や企業は、この支払調書を翌年の1月末までに税務署へ提出することになっています。

つまり、確定申告をする前から、税務署は支払調書によって「この人は、〇〇から年間でこれだけの収入を得ている」という情報をすでに把握しているのです。

【参考情報】No.7431 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数等

【要注意】これらの収入、源泉徴収の対象です!

では、具体的にどのような収入が源泉徴収の対象となるのでしょうか。
漫画家・同人作家さんの場合、以下のような収入が該当します。

  • 商業誌に掲載された原稿料
  • FANZA・DLsiteなどのプラットフォームで販売した電子書籍の売上
  • イラスト提供に対する報酬

いずれも、支払う側が税務署に情報を提出しており、漫画家・同人作家さんの収入情報が「支払調書」として税務署に送られます。
※制度上、年間の支払金額が5万円以内でしたら、送らなくてよいことになっています。

無申告のリスクは意外と高い

「バレないだろう」と思って無申告を続けてしまうと、以下のようなペナルティを受ける可能性があります。

  • 過去数年分の申告を求められる
  • 無申告加算税・延滞税などが課される
  • 調査や指導の対象となり、精神的負担も大きくなる

税務署から指摘を受けてから申告するのではなく、自分から適切に申告を行うことが安心・安全な選択です。

「確定申告は面倒」でも、クリエイターを守る大切な手続きです

とはいえ、確定申告は書類の準備や計算が複雑で、時間もかかります。

忙しい創作活動の合間を縫って行うのは、大きな負担に感じられる方が多いのも事実です。

しかし、確定申告は義務であると同時に、払い過ぎた税金を取り戻すチャンスでもあります。

画材代や資料代、PC購入費などを「経費」として正しく計上すれば、源泉徴収で天引きされた税金が戻ってくる(還付される)可能性もあるのです。

創作に集中したいなら、専門家におまかせするのも有効な1つの方法です

「手続きは面倒だけど、正しく申告はしたい」
「経費の計算とか、何がなんだか分からない」

そんなクリエイターの皆様におすすめなのが、税務の専門家である税理士に確定申告を任せるという選択肢です。

  • 面倒な書類作成や計算から解放される
  • 節税に繋がるアドバイスがもらえる
  • 税務調査の不安がなくなる
  • 何より、ご自身の創作活動に集中できる!

専門家に任せることで、時間と安心を手に入れ、ご自身のクリエイティブな活動に専念できます。

【まとめ】

最後に、この記事のポイントを振り返りましょう。

  • 源泉徴収と支払調書により、税務署は収入を把握しています。
  • 「バレないだろう」という安易な無申告は、重いペナルティのリスクがあります。
  • 面倒な確定申告は専門家に任せて、安心して創作活動に打ち込みのも選択肢の一つです

税務署は、収入をある程度把握しているという前提で、しっかりとした申告対応を心がけましょう!!

投稿者プロフィール

豊岡 春樹
豊岡 春樹
久留米市の若手公認会計士・税理士です!
freee会計を活用し、中小法人・スモールビジネスの記帳や確定申告の負担を軽減し、本業に専念できる環境づくりを支援しています。
創作活動に励む漫画家・同人作家の方からのご相談も多数いただいており、柔軟かつ丁寧な対応を心がけています。