【漫画家・同人作家さん必見】確定申告で損しないために!源泉徴収の取り扱いに注意

こんにちは。
福岡県久留米市の公認会計士・税理士、豊岡春樹です。

「確定申告の時期が近づいてきたけど、源泉徴収って何?」

「なんだかよくわからないまま損してないかな」

個人事業主として活動する漫画家や同人作家の皆さん、こんなお悩みはありませんか?

特に「原稿料」や「印税」といった収入がある方は、「源泉徴収」という言葉を耳にする機会が多いはずです。

この源泉徴収、実は確定申告で非常に重要なポイントとなります。

正しく理解していないと、税金を余計に支払ってしまう可能性もあるのです。

この記事では、漫画家・同人作家さんが確定申告で損をしないために、源泉徴収の基本から具体的な申告方法まで、わかりやすく解説します。

そもそも「源泉徴収」とは? 基本をおさえよう

源泉徴収とは、簡単に言うと「報酬を支払う側(出版社など)が、あらかじめ所得税などを天引きして国に納める制度」のことです。

漫画家さんや同人作家さんが受け取る「原稿料」や「印税」は、多くの場合、この源泉徴収が行われたの金額が振り込まれています。

つまり、報酬を受け取った時点で、皆さんはすでに一部の税金を支払っていることになるのです。

なぜ源泉徴収があるの?
国が税金を効率的かつ確実に徴収するための仕組みです。
報酬を受け取る側が個別に納税する手間を省くとともに、納税漏れを防ぐ目的があります。

なぜ源泉徴収の理解が重要? 確定申告で損をしないために

源泉徴収された税金は、いわば「税金の前払い」です。

そのため、確定申告の際に「これだけ税金を前払いしていますよ」と申告する必要があります。

もしこの申告を忘れてしまうと、すでに支払った税金が考慮されず、本来納めるべき税額よりも多く支払ってしまう(二重払いのような状態になる)可能性があります。

逆に、正しく申告すれば、払い過ぎた税金が戻ってくる(還付される)こともあります。

だからこそ、源泉徴収の仕組みを理解し、確定申告書に正確に反映させることが非常に大切なのです。

源泉徴収される主な報酬の種類は?

漫画家・同人作家さんの場合、主に以下のような報酬が源泉徴収の対象となります。

  • 原稿料
  • 印税(著作権使用料)
  • デザイン料
  • 講演料 など

【重要】源泉徴収されないケースに注意!
一方で、全ての収入が源泉徴収されるわけではありません。
例えば、コミケでの直接販売、メロンブックスやBOOTHなどのプラットフォームを通じた自費出版(同人誌販売)による売上は、原則として源泉徴収の対象外です。

源泉徴収の対象となる報酬の詳しい範囲については、国税庁の資料で確認できます。
参考:国税庁「報酬・料金等の源泉徴収事務」

源泉徴収される税率は?
一般的に、原稿料や印税などの報酬・料金にかかる源泉徴収税額は、支払金額に対し10.21%(100万円以下の場合)です。
100万円を超える場合は計算方法が異なってきます。

源泉徴収された税額はどうやって確認する?

源泉徴収された税金の額は、通常、出版社などの支払者から送られてくる「支払調書」や「売上明細書(支払明細書)」に記載されています。

これらの書類には、

  • 支払金額(源泉徴収される前の総額)
  • 源泉徴収税額
  • 支払者情報

    などが記載されているので、大切に保管しておきましょう。

    もし見当たらない場合は、取引先の出版社等に問い合わせてみてください。

【実践編】確定申告書への入力方法(e-Tax・事業所得の場合)

ここでは、国税庁の「確定申告書等作成コーナー(e-Tax)」を利用し、事業所得として申告する場合の入力例を説明します。

収入金額・所得金額の入力画面へ
e-Taxの案内に従い、「収入金額等」の入力画面に進み、「事業所得(営業等)」を選択します。

「源泉徴収された収入の内訳」を入力
事業所得の収入を入力する画面の中に、「源泉徴収された収入の内訳」といった項目があります。
ここの「入力する」ボタンをクリックします。

詳細情報を入力
以下の情報を、支払調書や売上明細書を見ながら入力します。

・報酬の支払者の氏名・名称:出版社名などを入力

・報酬の支払者の所在地:出版社などの所在地を入力

・収入の種目:「原稿料」「印税」「デザイン料」などを選択または入力

・収入金額:源泉徴収される「前」の総額(税込)を入力します。手取り額ではない点に注意!

・源泉徴収税額:実際に天引きされた税額を入力します。

入力内容の確認
全ての入力が終わると、確定申告書の以下の箇所に反映されます。

・確定申告書 第二表「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」:ここに入力した内容が一覧で表示されます。

・確定申告書 第一表「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」:第二表で入力した源泉徴収税額の合計額がここに転記されます。

これらの箇所に正しく金額が反映されていればOKです。

この第一表の「源泉徴収税額」が、最終的な納税額から差し引かれる(または還付の基になる)ことになります。

まとめ:源泉徴収を正しく理解して、賢く確定申告!

漫画家・同人作家の皆さんにとって、源泉徴収は確定申告における重要なチェックポイントです。

  • 原稿料や印税は源泉徴収されていることが多い
  • 源泉徴収は税金の前払い。確定申告で必ず申告する
  • 申告しないと税金を余計に払う可能性大!
  • 売上明細書で源泉徴収税額を確認
  • 自費出版の売上など、源泉徴収されない収入もあるので注意

確定申告は複雑で分かりにくい部分も多いですが、一つひとつ確認していけば大丈夫です。

この記事が、皆さんのスムーズな確定申告の一助となれば幸いです。

もしご自身での判断が難しい場合や、他にも経費の計上などで不安な点がある場合は、
税理士などの専門家に相談することも検討しましょう!!

本業に集中できる環境を作れる可能性があります!

投稿者プロフィール

豊岡 春樹
豊岡 春樹
久留米市の若手公認会計士・税理士です!
freee会計を活用し、中小法人・スモールビジネスの記帳や確定申告の負担を軽減し、本業に専念できる環境づくりを支援しています。
創作活動に励む漫画家・同人作家の方からのご相談も多数いただいており、柔軟かつ丁寧な対応を心がけています。