【同人作家・漫画家向け】家事按分とは? 家賃や車、通信費を経費にする考え方

こんにちは!福岡県久留米市の公認会計士・税理士、豊岡春樹です!

「家賃や携帯電話の料金って、経費にしていいのかな」
「一部だけ経費にできると聞いたけれど、どう分ければいいか分からない」

こんな疑問をお持ちの方も多いと思います。

実務でも、同人作家・漫画家の方からよくいただくご相談のひとつです。

税金を少しでも減らすには、漏れなく経費を計上することが大切です!

この記事では、同人作家・漫画家の方に向けて、お仕事とプライベートの両方で使っているものを経費にする「家事按分(かじあんぶん)」の考え方と、実務での計算方法をお伝えします。

家事按分の基本的な考え方

まず、経費に計上する際の大きな考え方を整理しましょう。

お仕事を行う上で必要な支出(売上に関連する支出)は、経費に計上することができます。

そして、家賃や車のようにお仕事とプライベートの両方に関係する費用(家事関連費といいます)については、もうひとつ要件が加わります。

それが「お仕事に必要である部分を明らかに区分すること」です(所得税法施行令96条1号所得税法基本通達45-2)。

字面だけ見ると難しそうですよね・・・。ただ、考え方はシンプルです。

  • お仕事に使っていること
  • お仕事に使っている割合をきちんと算出できること

この2つを満たせば、お仕事で使っている部分を経費にすることが可能です。

この「お仕事分とプライベート分に分けること」を、家事按分と呼びます。

なお、必要経費の基本的な考え方は国税庁のサイトにもまとめられていますので、あわせて参考にしてみてください。

国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」

【家賃】お仕事部屋の面積で按分する

ご自宅で創作活動をされている方が多いため、家賃は実務でも特にご相談の多いポイントです。

結論として、お仕事の割合は原則として「面積」で算出します。

計算方法

  • お仕事の割合 = お仕事部屋の面積 ÷ 全体の面積
  • 経費にできる金額 = 毎月の家賃 × お仕事の割合

全体の面積は、賃貸借契約書に記載されていることが多いので、確認しやすいです。

お仕事部屋の面積は、一例として「間取り図」等で畳数を把握し、それを㎡に換算(畳数 × 約1.62㎡)して算出する方法があります。
㎡への換算は、インターネットで検索すると計算ツールが出てきますので、それを使うと便利です。

お仕事部屋を用意していない場合

「専用のお仕事部屋はなく、リビングなどプライベートでも使う場所で創作している」というケースもあると思います。

その場合は、上記と同様にいったん面積で割合を算出し、さらに時間等を加味する方法があります。

  • お仕事の割合 = 面積の割合 ×(お仕事の時間 ÷ 総利用時間)

【車両】走行距離や利用時間・日数で按分する

資料や材料の買い出し、風景の参考にするために写真を撮りに行くなど、創作のために車を使う場面もあるかと思います。

この場合もお仕事に使っているので、お仕事の割合分だけ経費に計上できます。

計算方法

かなり厳密に算出する場合は、1か月単位などでお仕事で利用した走行距離を記録し、次の式で割合を求めます。

  • お仕事の割合 = お仕事の走行距離 ÷ 総走行距離

ただ、正直なところ、実務上ここまで厳密に記録している方は少ないです・・・。

実務的には、1週間や1か月を単位として、次のような方法で算出することが多いです。

  • お仕事で利用した時間 ÷ 総利用時間
  • お仕事の利用日数 ÷ 総利用日数(お仕事利用日はプライベート利用が無いことが前提)

なお、ガソリン代や車検費用、自動車保険料、自動車税などの車に関わる費用も、同じ割合で按分して経費にすることができます。

【携帯電話・インターネット回線・パソコン等】利用時間で按分する

資料の調べものや関係者とのやり取りなど、創作活動に欠かせない通信費や機器も、お仕事の割合分を経費にできます。

計算方法

実務的には、1週間や1か月を単位として、次の式で算出することが多いです。

  • お仕事の割合 = お仕事で利用した時間 ÷ 総利用時間

なお、パソコンは購入費用そのものも按分の対象になります。
ただし、10万円以上のものは減価償却(購入費用を数年に分けて経費にする仕組み)の対象になるなど、少し取り扱いが異なります。
10万円以上のものを購入した場合は、減価償却費×お仕事の割合が経費になるというイメージです。

【電気代】面積や時間で按分する

電気代は、家賃の按分で使った面積の割合をそのまま使ったり、使用時間の割合を算出したりして経費にします。

  • お仕事部屋の面積 ÷ 全体の面積
  • お仕事の時間 ÷ 総利用時間

一方で、ガス代や水道代は生活費としての性質が強いため、経費として計上するのは難しいと私は考えています。

このように、費用によって経費にしやすいもの・しにくいものがある点も、知っておいていただきたいポイントです。

按分割合で大切なこと

ここまで計算方法をご紹介してきましたが、お仕事の割合は「合理的に説明できる割合」で算出されていることがポイントです!

そのために、計算の根拠となるもの(間取り図や、いつ・どのくらいお仕事で使ったかのメモなど)は、記録として残しておくことをおすすめします。

あとから確認されたときにも、落ち着いて説明できるようにするためです。

一方で、実態より高すぎる割合を設定するのは要注意です。

あとから修正が必要にならないよう、実態に合った無理のない割合にしておきましょう。

まとめ

今回は、同人作家・漫画家の方向けに、家事按分の考え方と計算方法をお伝えしました。

改めて整理すると、次のとおりです。

費用お仕事の割合の主な算出方法
家賃お仕事部屋の面積 ÷ 全体の面積(専用部屋がない場合は時間等も加味)
車両走行距離・利用時間・利用日数の割合
携帯電話・インターネット・パソコン利用時間の割合
電気代面積または使用時間の割合
  • お仕事とプライベートの両方で使うものは、「お仕事に必要な部分を明らかに区分」できれば経費にできます
  • 割合は合理的に説明できれば大丈夫です。計算の根拠を記録しておくと安心です。

経費の整理は少しずつ進めれば必ず形になりますので、コツコツと進めていきましょう!

ご参考になれば幸いです!

家事按分の考え方と費用別の按分方法(家賃・車両・携帯・ネット・パソコン・電気代)の図解

投稿者プロフィール

豊岡 春樹
豊岡 春樹
久留米市の若手公認会計士・税理士です!
freee会計を活用し、中小法人・スモールビジネスの記帳や確定申告の負担を軽減し、本業に専念できる環境づくりを支援しています。
創作活動に励む漫画家・同人作家の方からのご相談も多数いただいており、柔軟かつ丁寧な対応を心がけています。