個人事業主の節税対策とお金の使い方|「税金を減らす」より「お金を残す」意識を

節税は大切ですが、それ以上に「手元にお金を残すこと」を意識すると、事業はもっと安定します。

こんにちは!福岡県久留米市の公認会計士・税理士、豊岡春樹です!

「個人事業主になったからには節税しなきゃ」と考える方は多いと思います。

一方で「何から始めればよいか分からない」「勧められた節税商品が本当に必要なのか迷っている」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、個人事業主の方が活用できる主な節税策をシンプルに整理します。

そのうえで、私が日頃からお伝えしている「節税よりも大切な、お金との向き合い方」をご紹介します。

個人的な考え:まずは事業にフルベット。資金が安定してから節税を

合法的な節税はもちろん大切です。

ただ、順番としては「まず事業に全力で取り組み、利益と資金を安定させる。そのうえで合法的な節税に取り組む」というのをおすすめしております。

理由はシンプルで、節税の多くは「支出」を伴うものだからです。

事業の土台ができていない段階で節税に意識を取られすぎると、肝心の手元資金が減ってしまいます。

実務でも、開業間もない時期から節税を気にしすぎて、事業への投資が後手に回ってしまうケースは避けたいです。

個人事業主が活用できる主な節税策(シンプル版)

ここでは、代表的な節税策の要点だけを簡潔にご紹介します。

小規模企業共済

個人事業主や小規模企業の役員のための、いわば「自分の退職金」を積み立てる制度です。

  • 掛金は月額1,000円から70,000円まで自由に設定可能(年間最大84万円)
  • 掛金が全額所得控除の対象になり、所得税・住民税の負担を抑えられる
  • 事業をやめた際に、退職金として受け取れる

詳しくは、中小機構の公式サイト(https://skyosai.smrj.go.jp/)をご覧ください。

オンラインからの申し込みが可能であり、口座振替でのお支払いになるので、一度設定してしまえば手間なく節税に繋がります!

iDeCo(個人型確定拠出年金)

自分で掛金を積み立てて運用し、60歳以降に受け取る老後資金のための制度です。

  • 掛金が全額所得控除の対象になる
  • 運用益に税金がかからない
  • 個人事業主の掛金上限は月額68,000円(2026年12月に75,000円へ引き上げ予定)
  • 原則60歳まで引き出せない点には注意が必要です

詳しくは、iDeCoの公式サイト(https://www.ideco-koushiki.jp/)をご覧ください。

ふるさと納税

寄附をすると、自己負担2,000円を除く金額が所得税・住民税から控除される仕組みです。

  • 節税というより「税金の前払い+返礼品の分がお得になる」というイメージ
  • 控除には所得に応じた上限があり、超えた分は純粋な自己負担になります

詳しくは、総務省のポータルサイト(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html)をご覧ください。

業務に関係する支出を漏れなく経費にする

業務に関連するセミナー参加費や、書籍・新聞の購入費などは経費に計上できます。

  • 「なぜ業務に必要だったか」を説明できることが大切です
  • 経費の計上漏れをなくすだけでも、納税額は変わります

節税の落とし穴:税金が減るのは「支出額×税率」の分だけ

ここで、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。

節税は基本的に「支出(お金が出ていくこと)」を伴います。

そして税金が減るのは、あくまで「支出額×税率」の分だけです。

例えば、税率30%の方が10万円の経費を使った場合、節税できるのは3万円です。
残りの7万円は、純粋な支出として出ていきます。

つまり「節税のために」と、あまり使わないものを購入してしまうと、税金は減っても手元のお金はそれ以上に減ってしまうのです。

小規模企業共済やiDeCoは将来の資金形成にもつながるので、とても優れた制度だと思います!

ただ、支出は伴うので、資金繰り等を考慮したうえで実行する必要があるかなと考えています。

「節税すればお金が増える」とは限りません

節税のご相談を受けていると、「税金を減らせば、その分手元のお金が増えるはず」と考えている方が多いことに気づきます。

ただ、実際にはそうとは限りません。

前の章でお伝えしたとおり、節税は基本的に税金以上にお金が出ていきます。

つまり、税金を減らすことに夢中になるほど、手元のお金はどんどん少なくなっていくのです。

そこで意識していただきたいのが「目的の整理」です。

事業を安定させたいのであれば、本当に追いかけるべきは「税金の少なさ」ではなく「手元に残るお金の多さ」のはずです。

この視点に立つと、「無理に経費を使って税金を減らすより、きちんと納税して着実にお金を貯める」という選択も、立派な経営判断だと分かります。

節税にこだわりすぎて手元資金を減らしてしまうのは、本末転倒と言えるかもしれません。

なぜ「お金を残すこと」が大切なのか

事業を行ううえで、手元の資金は本当に大切です。

手元にお金があると、次のような効果があります。

  1. 精神的に楽になる
  2. 資金ショートの心配が減り、経営が安定する
  3. 必要なタイミングで迷わず投資できる

特に3つ目は重要だと考えています。

時代が急速に変化している今、システムの導入や設備投資といった重要な意思決定は、思わぬタイミングで急に発生します。

その際に手元にお金があれば、チャンスを逃さず判断できます。

逆にお金がなければ、迷っている間に機会を逃してしまうこともあります。

実際、事業のお金に関する悩みの多くは「手元資金の不足」から生まれます。

目先の税金を減らすよりも、お金を残しておく方が、結果的に事業の安定につながると私は考えています。

私がおすすめする「お金の使い方」の基本

最後に、個人的におすすめしているお金の使い方の考え方をご紹介します。

  1. 将来の資産になり、かつ節税にもなる制度(小規模企業共済・iDeCoなど)は活用する
  2. 節税目的だけで、不要なものは購入しない
  3. 税金はしっかり納めたうえで、お金を貯めておく
  4. 本当に必要な投資や大きな支出のタイミングで、計画的にお金を使う

意識していただきたいのは「税金を減らすこと」ではなく、「手元に残るお金を最大化すること」だと思います!

まとめ

  • まずは事業にフルベットして利益と資金を安定させ、そのうえで合法的な節税に取り組む
  • 個人事業主の主な節税策は、小規模企業共済・iDeCo・ふるさと納税・経費の漏れない計上
  • 節税で税金が減るのは「支出額×税率」の分だけ。不要な支出はかえってお金を減らす
  • 「税金を減らしたいのか、お金を残したいのか」を意識すると、お金との向き合い方が変わる

節税は大切ですが、それは事業が軌道に乗ってからでも遅くありません。

まずは目の前の事業に集中して、着実にお金を残していきましょう!

個人事業主の節税策とお金の残し方を示した図解

投稿者プロフィール

豊岡 春樹
豊岡 春樹
久留米市の若手公認会計士・税理士です!
freee会計を活用し、中小法人・スモールビジネスの記帳や確定申告の負担を軽減し、本業に専念できる環境づくりを支援しています。
創作活動に励む漫画家・同人作家の方からのご相談も多数いただいており、柔軟かつ丁寧な対応を心がけています。